請願第7号「学校給食費の恒久的無償化施策の継続に関する請願の件」について

請願第7号、「学校給食費の恒久的無償化施策の継続に関する請願の件」について、八尾の未来を紡ぐ会を代表し、不採択の立場で討論いたします。

給食費の恒久的無償化を求める市民の願いは、私どもの会派も重く受けとめており、子どもたちの健康と学力向上、社会的格差の解消、保護者の負担軽減という観点からその必要性は高く、子どもたちの未来のために社会全体でとりくむ課題であると認識しています。しかし、本来は国の施策として実施されるべきものと考えます。「食材費を保護者が負担する」と規定した学校給食法を改め、全国のどこに住んでいても全てのこどもたちに平等・公平に給食費無償化が提供されてこそ、請願者が求める教育の機会均等の確保につながるのではないでしょうか。

さらに、一基礎自治体である本市が恒久的に毎年10億ほどの財源を確保し続けることができるのか、非常に疑問です。執行部の見解を聞くに及んでも、その見通しや制度設計の方向性が不透明な現状においては、慎重な判断をせざるを得ません。本市は、2022 年度から、物価高対策に活用できる国の臨時交付金を活用し一時的な給食費無償化を実施してきました。コロナ禍や物価高騰により家計にさまざま影響のあった子育て世代への支援として、大きな一助になったと受け止めています。しかし今後も引き続き、市の限られた予算のなかで給食費無償化の財源を捻出するのであれば、果たしてどのようにして確保するのか、そのために、どの事業を削るのか、福祉や人権、生活や命を守るセーフティネットのとりくみに影響はないのか、今後の物価高騰によっては予算額がさらに膨らむのではないか、さまざまな懸念を払拭できません。そのような財政議論ぬきでは、「採択」との判断はできませんでした。

最後は、施策の優先順位の問題です。教育課題に限っていえば、教育の質の向上・教育環境の充実に関わる課題が山積し、不登校児童生徒の教育の機会の確立や居場所への人的支援、トイレの改修、給食室や特別室のエアコンの設置、インクルーシブでバリアフリーのためのエレベーター設置、家庭と学校をしっかり支援するスクールソーシャルワーカーの増員、学校設備の老朽化に対する設備投資、請願が採択された学校図書館司書の配置など学校生活における多様な場面での支援が「まったなし」の状況であることを、かねてから私たちは主張し、会派として要望も続けてまいりました。これらも、市民・保護者、学校現場の切実な声であり願いです。地域間格差や学校間格差をなくし、教育の機会均等の実現にむけたとりくみは、給食費無償化に限られたことではありません。今、目の前に抱える数々の課題解消に向けて予算を拡充することも、一方で切実に求められているはずです。
生活困窮家庭の給食費については、すでに生活保護・就学援助制度で一部手当がされています。さらに充実させるのであれば、制度における所得制限の狭間で苦しい家庭への制限の底上げ、値上がりした給食費の分だけを支援する、多子世帯へ応援給付するなどいくつかの提案を申し上げ不採択の討論とさせていただきます。

2023 年12 月21 日
八尾の未来を紡ぐ会